こんにちは。
ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水 みゆきです。
この記事では、2種類以上の漢方薬を一緒に飲む場合の注意点、複数の漢方の飲み合わせについて、漢方専門の薬剤師がお話していきます。
最近では、漢方の専門ではない病院でも、漢方薬を処方されることが増えてきました。
薬局で自分で選んで漢方薬を買っているというお話もよく聞いたりします。
A病院でもらった漢方薬と、B病院でもらった漢方薬。
一緒に飲んでも大丈夫かしら・・・。
2種類以上の複数の漢方薬の飲み合わせって気になりませんか?
勤務先の薬局でもよく聞かれる質問のひとつです。
それでは、詳しくお話していきますね!
・2種類以上の漢方薬の飲み合わせが気になる方
・複数の漢方薬の飲み方に不安がある方
目次
複数の漢方薬の飲み方の注意点は、甘草の量!
実際にあった3種類の漢方薬の飲み合わせについてのご相談
先日、勤めている薬局で、漢方薬の飲み合わせについてのご相談がありました。
2つの病院から別々の種類の漢方薬を処方されたけど、
一緒に飲んでいいのか、ダメなのか、
もし2つの漢方を一緒に飲むのならば、時間をあけて飲んだ方がいいのか、
わからなくて不安だったそうです。
病院からは、3種類の漢方薬が処方されていました。
そのひとつが、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)でした。
芍薬甘草湯といえば、こむらがえりや生理痛などに効いて、<漢方薬の痛みどめ>として有名です。
そして、甘草という生薬がたくさん使われている漢方薬です。
甘草は、むくみや血圧上昇といった副作用をおこすことがあります。
*甘草の副作用については、こちらのブログも参考にしてくださいね。
甘草が含まれる漢方薬はむくみや血圧上昇の副作用に注意
副作用を避けるために、芍薬甘草湯は、痛いときだけ、一時的に飲むのが一般的な飲み方です。
芍薬甘草湯以外にも、複数の漢方薬を飲んでいる場合は、できれば、30分以上は間をあけて飲むとよいです。
今回の相談のケースでは、お医者さんから、
芍薬甘草湯を「毎日、1日3回飲むように」と言われたとのこと。
芍薬甘草湯以外の漢方薬との飲み合わせには、今回は問題ありませんでした。
(芍薬甘草湯以外の2つの漢方薬には、甘草が含まれていませんでした。
2つを一緒に飲んでも問題ない漢方でした。)
問題は、芍薬甘草湯です。
しかも、毎日1日3回飲む、こちらの方が気になりました。
というのは、
1日の甘草の量5gを続けて飲まない
これが、甘草の副作用を防ぐための原則だからです。
芍薬甘草湯には、1日3回飲んだ場合(1日量)、合計6gの甘草が含まれています。
なので、1日3回芍薬甘草湯を飲み続けると、甘草の副作用のリスクが高くなってしまいます。
甘草の副作用の出る、出ないには腸内細菌が関係していることもあって、個人差があります。
甘草の量が多くても、なにも副作用が出ずに問題のない方もいます。
でも、今回は、もともと患者さんがむくみやすいという悩みがあったこともあり、注意すべきポイントだと判断。
「むくみがおきたら、すぐに中止してくださいね」と漢方の飲み方をお伝えしました。
すると・・・
次の日に、「少し顔がむくんだので、飲むのをやめました」というご連絡がありました。
気づいてすぐに飲むのをやめたら、むくみもなくなります。
それで問題ないです。
ちょっとしたむくみは、自分でも気づかないこともありますが、
前もって話に聞いてわかっていると、
自分のからだの変化に敏感に気づけますよね。
やっぱり、なんでも早期発見が大切!
ひどくなる前に防ぐことができて、本当によかったです。
様々な漢方薬に含まれている甘草、飲み合わせには注意が必要
甘草がたくさん含まれている漢方薬は、芍薬甘草湯が有名ですが、
他にもいろいろな漢方薬にも含まれています。
葛根湯や小青竜湯などにも、甘草が入っています。
2種類以上の複数の漢方薬を飲んでいる場合は、甘草の量の合計量が多すぎないかどうか、
チェックすることが大切です。
そうすることで、漢方薬の飲み合わせによって起きる甘草の副作用を未然に防ぐことができます。
自分で漢方薬を買う時も気をつけてくださいね。
ドラックストアや薬局で売っている漢方薬には、きちんと生薬の成分量が書いてあります。
成分表をみて、
・甘草が入っているかどうか
・甘草がどれくらいの量含まれているか
この2点を確認してくださいね。
薬局でもらうときは、他に漢方薬を飲んでいることを伝えた上で、薬剤師さんに相談しましょう。
薬剤師さんが、甘草の量をチェックして、漢方の飲み方のアドバイスをしてくれるはずです。
まとめ:2種類以上の漢方薬の飲み合わせ、複数の漢方を飲む時に注意すること
というわけで、
2種類以上の漢方薬を一緒に飲む場合の注意点、複数の漢方の飲み合わせについて、お話してきました。
複数の漢方薬の飲む場合は、飲んでいる漢方薬に入っている甘草に注意してください。
そして、甘草湯や芍薬甘草湯のように、甘草の量が多い漢方の場合は、長く続けて飲みすぎないようにしましょう。