こんにちは。
ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水みゆきです。
今回は、風邪の長引く咳や痰でつらい時にオススメする、ドラックストアや薬局で買える市販の漢方薬について、漢方専門の薬剤師がお話します。
「風邪をひかないようにしなくちゃ!」
気をつけていたのに、発熱してダウン。
その後、なんとか熱は下がったけど、咳だけがゴホゴホと止まらない。
咳のしすぎで、頭痛までしてきた。
咳が続くと、体力も消耗してしまいますよね。
毎日忙しいママにも負担になってしまいます。
インフルエンザや風邪の熱もさがって、風邪の治りかけ。
だけど、なかなか咳だけがなおらない。
この長引く咳って、なかなかのくせものです。
西洋薬は、咳や痰をその時だけ<一時的に>やわらげる、
そんな対処療法的なものが一般的です。
漢方薬は、咳や痰をただおさえるだけでなく、咳が出る体の原因にも、はたらきかけます。
ちなみに、漢方薬でも、葛根湯は咳には効果がありません。
葛根湯は風邪の治りかけには効かない!長引く風邪にオススメの漢方薬
咳のタイプ別に5種類の漢方薬について、詳しくお話していきますね!
・長引く咳で困っている方
・咳や痰がなかなか治らずに不安な方
目次
風邪の治りかけの咳、乾いた咳によい市販の漢方、麦門冬湯(ばくもんどうとう、29番)
咳の漢方薬で有名なのは、麦門冬湯(ばくもんどうとう)です。
麦門冬湯は、名前にもなっている<麦門冬>という生薬がメインで、
咳をとめたり、痰をきるはたらきがあります。
また、からだに潤いをあたえるはたらきもあります。
潤いを補ってくれる麦門冬湯は、<コンコン>と乾いた咳によい漢方です。のどを潤してくれる感じですね。
空気が乾燥すると、のども乾燥しやすくなります。
のどの粘膜の表面が乾いてしまうと、
ちょっとした刺激に敏感になって、ダメージをうけやすくなります。
そして、咳やのどの痛みがおきてしまうんですね。
乾燥からくる乾いた咳を麦門冬湯は和らげます。
麦門冬湯の飲み方
麦門冬湯は、西洋薬の咳止め感覚で飲むこともできます。
つまり、咳がひどい時だけ飲んでもかまいません。
麦門冬湯は、市販薬としても販売されています。
体質改善的に長く飲む漢方薬ではなく、咳がひどい時に飲むことが多く、
数日分あれば十分足ります。
薬局やドラックストアでも購入できるので、すぐに飲むことができます。
こちらは、医療用の麦門冬湯と同じ成分量の満量処方のクラシエの麦門冬湯です。
病院でもらう漢方と同じくらいの効果が期待できます。
*漢方薬の成分表についてはこちらのブログ記事に詳しく書いています。
病院で処方される医療用漢方薬と薬局で買う一般用漢方薬の中身の違い
こじれた風邪のゼーゼーする咳や痰によい市販の漢方、五虎湯(ごことう、95番)や麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう、55番)
黄色い痰がでたり、ゼーゼーする喘息のようなときは、五虎湯(ごことう)や麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)という漢方薬がよく使われます。
ゼーゼーする咳がポイントです。
どちらとも、肺の潤いをうばってしまう過剰な熱をさますはたらきがあります。
気管支ぜんそくや夜ぐっすり眠れないほど咳き込んでしまうときにもよいです。
吸入薬と漢方の併用も可能です。
市販のクラシエの麻杏甘石湯は、医療用の麻杏甘石湯の1/2量です。
錠剤タイプです。
麻杏甘石湯+桑白皮(そうはくひ)=五虎湯です。
桑白皮は、くわの根の皮。
咳をしずめるはたらきがあります。
五虎湯の方が、麻杏甘石湯よりもパワフルと考えることができます。
こちらは、医療用の五虎湯と同じ成分量の満量処方の市販薬のクラシエの五虎湯です。
子どものゼーゼーする咳に麻杏甘石湯、季節の変わり目の長引く咳に五虎湯、漢方薬に助けられた経験
以前はよく、秋から冬、冬から春といった季節の変わり目に
長引く咳の風邪をひいていた私。
夜眠れないほどのひどい咳が長引いていた時、
五虎湯を飲んで治った経験もあります。
以前、風邪をひく度にゼーゼーする咳をしていた長男は、
麻杏甘石湯に助けれました。
長男の咳は、日中よりも夜に悪化することが多かったので、
寝る前に半分飲んで、夜中に咳こんで起きたときに残りの半分を飲む、
こんな風な飲み方をしていました。
長引く咳に使われる市販の漢方、竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう、91番)、清肺湯(せいはいとう、90番)
風邪がこじれてすっきりしない、インフルエンザ後の長引く咳、
痰や咳で眠れないときは、竹じょ温胆湯(ちくじょうんたんとう、91番)が効果的です。
胃腸や肺の負担になる余分な水をとりのぞくはたらきがあります。
詳しくはこちらのブログ記事をどうぞ。
インフルエンザ後の長引く咳で眠れない時に役立つ漢方薬、竹茹温胆湯
かなり咳が長引いて続いて慢性化しているときは、清肺湯(せいはいとう、90番)
肺や気管支の炎症をやわらげる(=清熱する)漢方です。
粘りこい痰を出しやすくして、咳をやわらげます。
清肺湯は、ダスモックという名前でも市販されています。
タバコや排気ガスなどによる咳や痰が続く方むけの漢方薬として、小林製薬から販売。
カタカナの名前ですが、中身は清肺湯と同じです。
15歳未満は使わないこととなっています。
ダス=出す、モック=排気ガスやタバコの煙のもくもくからくるネーミングのようです。
生薬量(成分量)は、医療用よりも少なめです。
まとめ
ということで、長引く咳や痰でつらい時にオススメする、ドラックストアや薬局で買える市販の漢方薬を症状のタイプ別に5つご紹介しました。
長引く咳や痰に使われる漢方薬は、他にもいろいろな漢方薬がありますが、
この5種類の漢方薬は、ドラックストアや薬局でも買うこともできます。
(といっても、お店の品揃え次第でちょっと違うかもしれませんが)
咳のタイプにあった漢方薬を飲むと、
長引くつらい咳や痰もかなりやわらぎます。
熱が下がって咳だけになると、そのうち治ると放置しがちです。
長引く咳で、体も心も疲れきってしまう前に、漢方薬を上手に使って治していきたいですね。
セルフケアできるか、病院を受診した方がいいか、見極めることも大切です。