こんにちは。漢方薬剤師の清水みゆきです。
先日、富山市まちなか総合ケアセンターで開催された
産後ケア応援室研修会「産後の女性に役立つ漢方とハーブ」の講師を担当いたしました。
活動報告としてその時のお話しをしていきますね!
目次
産後のお母さんたちに役立つハーブと漢方
研修会でお話した内容はこんな感じです。
■ハーブティーやアロマ
・アレルギーや薬との飲み合わせの注意点
・選び方
・産後の不調にあわせた具体的な活用方法
■漢方
・産後の女性の養生法
・病院で処方される漢方薬と市販の漢方薬の違い
・産後の不調によく使われる漢方薬(市販薬)
・質問回答
「産後や授乳中の注意点だけではなく、一般的なハーブや漢方薬の注意点、副作用を知りたい」
ということでしたので、合わせて詳しくお話ししました。
見出しごとに分けて簡単にシェアしますね^^
産後の女性に役立つハーブティーとアロマ(精油)
産後の女性にやさしいハーブティー
産後のストレスや精神不安におすすめのハーブティー
ジャーマンカモミール:リラックス、鎮静作用
リンデンフラワー:リラックス、鎮静作用、睡眠の質を高める
オレンジフラワー:不安や緊張を和らげる
パッションフラワー:緊張の緩和、精神を鎮めるはたらき
ローズヒップ:ビタミンCの補給によるストレス緩和
むくみ改善に役立つハーブティー
ローズヒップ
ハイビスカス
リンデンフラワー
エルダーフラワー
*利尿作用により、体内の余分な水分や老廃物などの排出を促してむくみを改善します。
母乳の出をよくするハーブティー
フェンネル
ネトル
ラズベリーリーフ
レモングラス
市販のハーブティー「授乳中のママブレンド」には、フェンネル・ネトル・ラズベリーリーフが含まれています。
ティーパックなので気軽に飲めていいですね!
ハーブティーはノンカフェイン(マテ以外)なので、授乳中のママの水分補給にもおすすめです。
産後の女性にやさしいアロマ
産後のストレスや精神不安におすすめの精油(アロマ)
イランイラン:イライラや不安を和らげる、リラックス
柑橘系の精油(オレンジ、レモンなど):リフレッシュ
サンダルウッド:神経の緊張や不安を和らげる、リラックス
フランキンセンス:神経の高ぶりを抑える、リフレッシュ
マージョラム:ストレス、不安、精神疲労を和らげる
ラベンダー・アングスティフォリア:緊張やイライラを和らげる
ローズウッド:うつや不安を和らげる、リラックス
むくみや肩こり改善に役立つ精油(アロマ)
■むくみ改善
サイプレス:リンパの流れをよくする、利尿作用
ジュニパー:利尿作用、リンパの流れをよくする
グレープフルーツ:血流やリンパの流れをよくする
■肩こり改善
マージョラム:血行促進、鎮静作用(筋肉のコリや痛み)
ラベンダー:抗炎症作用、鎮静作用(筋肉のコリや痛み)
ローズマリー:血行促進、抗炎症作用
産後の女性に役立つ漢方
産後の女性は、気虚・血虚の状態
出産時には体力を消耗し、多くの出血も伴います。
なので、漢方的には、産後の女性は、出産により、「気」と「血」が消耗された気虚・血虚の状態と考えます。
気虚・血虚の改善法について、漢方的に考える生活習慣や食事の工夫をお話ししました。
産後の女性の不調に役立つ漢方薬
病院で処方される医療用漢方薬と、ドラックストアやインターネットで買える市販の漢方薬の違い、
市販の漢方薬の満量処方について解説した後、
産後の不調に役立つ市販の漢方薬についてお話ししました。
産後の体力回復に役立つ漢方薬
気血を補う漢方薬が使われます。
芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん):産後の体力低下、神経症
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):産後の貧血、疲労倦怠感
人参養栄湯(にんじんようえいとう):産後の貧血、不安感
補中益気湯(ほちゅうえっきとう):産後の疲労倦怠感、胃腸虚弱
産後うつに役立つ漢方薬
芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん):産後の神経症(不安)
加味帰脾湯(かみきひとう):精神不安、不眠症、気力の低下
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):イライラ、怒りっぽい
加味逍遙散(かみしょうようさん):イライラ、情緒不安定
授乳トラブルに役立つ漢方薬
■乳汁分泌不全
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)
■乳腺炎
葛根湯(かっこんとう):乳汁うっ滞、乳腺炎の初期
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう):乳腺炎の初期以降
産後の肩こりや腰痛に役立つ漢方薬
■肩こり
葛根湯(かっこんとう):首の後ろや肩、背中のコリ
加味逍遙散(かみしょうようさん):ストレス性の肩こり
■腰痛
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血行をよくする
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん):腰を含む下半身の痛みやしびれ
産後のむくみに役立つ漢方薬
五苓散(ごれいさん):低気圧頭痛、めまい
防己黄耆湯(ぼういおうぎとう):水太り、汗をかきやすい
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え、貧血
最後に、事前にいただいていたご質問、
「漢方はどのくらいで効果が現れるのか?」「女神散(にょしんさん)について」にお答えして終了となりました。
講義が終わった後に、実際に体感もしていただきました。
ご紹介したレシピのアロマスプレーやとアロママッサージオイル、
漢方薬は、五苓散と芍薬甘草湯、香蘇散を準備していきました。
会場全体がアロマのいい香りに包まれていましたね!
体験していただきながら、個人的にご質問にもお答えさせていただきました。
私にとってもよい経験となりました。
「本日はありがとうございました。
大変参考になりました。
さっそくハーブティーを産後ケア応援室に取り入れることになりました。
アロマは精油があるのでスプレーを作ろうと思います。」
と富山市の担当者様からうれしいご感想もいただきました。
ありがとうございます!
さいごに:産後ケア応援室研修会「産後の女性の漢方とハーブ」の講師活動ご報告
今回の講座では、産後のお母さんたちに役立つ漢方やハーブの活用法や注意点について、薬剤師としての経験も交えつつ、お話ししてきました。
同じ医療者である助産師さん対象の研修会で緊張しましたが、和やかな雰囲気でお話ししやすかったです。
出産や育児で大変なママさん方のためにお役に立てばうれしいです。
参加していただいたみなさん、担当してくださった富山市の職員の皆様、ありがとうございました!
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