こんにちは。
ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水 みゆきです。
この記事では、薬局で買える漢方の市販薬と病院で処方される医療用漢方薬の中身の違いについて、漢方専門の薬剤師の私がお話します。
「ドラックストアで漢方薬の箱をみると、
使われている生薬とグラム数が書いてあります。
1日分〇g中〇gを含む
と書いてあるのですが、
どう考えても、配合されているグラム数との関係がわかりません。
あれって、どうなっているのですか?」
メルマガ読者さんから、こんなご質問をいただきました。
メルマガというのはこちらです。
「現役薬剤師が教えるやさしい漢方とハーブの知恵袋」
漢方薬の中でも、漢方エキス製剤についてのお話です。
漢方エキス製剤とは、
病院でもらったり、ドラックストアで買える、
パッケージされた粉薬あるいは錠剤の漢方薬のことです。
漢方薬の成分表の見方がわかれば、疑問はなくなります。
それでは、詳しくお話していきますね!
漢方薬の成分表の読み方、医療用漢方薬と市販薬の違いを考える
漢方薬の成分表とは?
漢方薬はつくる時に
使う生薬の種類や量、つくり方がそれぞれ、決められています。
漢方薬の箱や説明書にある<成分表>。
ここに、漢方薬に使われている
生薬の種類と量(g)、抽出量が書いてあります。
でも、ご質問をいただいたように、
確かに、ちょっとわかりにくいんです。
ここが理解できると、自分で漢方薬を選ぶときにも役立ちます!
こむらがえりなどによく使われる漢方薬、
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を例にして解説したいとおもいます。
芍薬甘草湯(68番)の成分表を読んで医療用と市販薬の漢方の違いを考える
まず、処方せんが必要な<医療用>のクラシエの芍薬甘草湯
・成分表
本薬1日量 (6.0g) 中:
日局シャクヤク6.0g、日局カンゾウ6.0g
上記の混合生薬より抽出した芍薬甘草湯エキス粉末2,900mgを含有する。
添加物として乳糖などを含有する。
こんな風に書いてあります。
わかりやすく言いかえると・・・
カンゾウとシャクヤク各6.0gを水で煎じる。
でき上がった煎じ液から水分をとばして濃縮し、
乾燥して粉の状態で2900mgにする。
そこに、扱いやすいように乳糖を加えて、
全体量が6.0gになるようにした。
これが1日量(3包)の芍薬甘草湯です。
という感じになります。
成分表を読み解くことができました!
今度は、成分表から、
医療用と一般用の漢方薬の違いをみていきましょう。
今度はドラックストアで売っている
<一般用>のクラシエの芍薬甘草湯。
・成分表
成人1日の服用量3包(1包1.5g)中:
シャクヤク・カンゾウ各3.0gより抽出した
芍薬甘草湯エキス(1/2量)1,450mgを含有する。
添加物として、ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖を含有する。
こんな風に書いてあります。
医療用と一般用の芍薬甘草湯で
使われている生薬やつくり方(製造方法)は同じですが、
使われている生薬の量が違いますよね。
漢方薬には国の基準で、
それぞれの配合量が決められています。
芍薬甘草湯の場合、
国の基準の最大量の生薬が入っているのが、
<医療用>の生薬を6.0g含むもの。
満量処方とも言われています。
<一般用>に配合されているのは3.0gで、
50%配合(1/2量)したものになります。
ちなみに、一般用の漢方薬の場合は、
50%以上が含まれていればいいですよ
ってことになっています。
<一般用>の芍薬甘草湯の方が
生薬=有効成分の量が少ないです。
薬としての効きめとしては少し下がるけれど、
その分、むくみなどの副作用は少なくなる。
<医薬用>の芍薬甘草湯の方が
切れ味はよいけれど、副作用や連用しないように気をつけないといけない。
ということですね!
芍薬甘草湯の副作用については
こちらのブログ記事に書いているので参考にしてくださいね。
まとめ
というわけで、薬局で買える漢方の市販薬と病院で処方される医療用漢方薬の中身の違いについて、お話してきました。
成分表に書かれた生薬の量をみて、
漢方薬に含まれる有効成分が多いか、少ないかその違いがわかります。
同じ芍薬甘草湯でも、メーカーや種類によって、成分量が違ってきます。
自分で漢方薬を選ぶ時は、成分表に気をつけてみてくださいね!