市販の漢方薬 六君子湯のメーカーごとの違いと選び方のコツ

この記事には、商品のプロモーションを含む場合があります。

漢方薬剤師の清水みゆきです。

この記事では、市販の漢方薬の六君子湯(りっくんしとう)のメーカーによる違いと選び方について、解説します!

清水 みゆき
六君子湯は、食欲がない・胃の調子がよくないといった胃腸が弱い方におすすめの漢方薬です。
私も以前ずっとのんでいて、今は夏バテ予防(食欲不振)にお世話になっています。

 

この記事を書いた人

清水みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師およびJAMHA認定ハーバルセラピストの資格を持つ専門家。
大学院卒業後、製薬企業の研究職を経て、現在は漢方調剤薬局に勤務。
漢方とハーブの知識を活かして自然の力で健康づくりをサポートする活動をしています。

六君子湯(りっくんしとう)とはどんな効果がある漢方薬?

 

六君子湯は、胃腸の機能を整えて、胃の余分な水分を取り除くはたらきがあります。

最近の研究では、六君子湯は、食欲をコントロールするホルモンであるグレリンを増加させて、食欲や消化管運動の低下を改善することもわかってきています。

六君子湯は、もともと胃腸が弱い・胃腸に水毒(過剰な水が停滞)がある方の、消化不良・食欲不振・吐き気・下痢・疲労や倦怠感などに使われます。

食後にすぐ下痢する、ストレスで下痢しやすいという方、機能性ディスペプシア(FD)にもおすすめの漢方薬です。

【効能効果】
体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、
貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、
食欲不振、胃痛、嘔吐

ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒の添付文書より引用

 

清水 みゆき
抗ガン剤の副作用でよくみられる吐き気や下痢の緩和にも使われています!

 

市販の六君子湯の一覧表

市販されている主な五苓散について、わかりやすく一覧表にしました。

全て粉薬で、錠剤はありません。
六君子湯は苦さなどなく飲みやすいからかもしれないですね。

剤型 用法 成分量
「クラシエ」漢方六君子湯エキス 粉(顆粒) 1日3回、制限なし 医療用の1/2量
ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒* 粉(顆粒) 1日2回、2歳以上 医療用の1/2量
六君子湯エキス〔細粒〕松浦薬業 粉(細粒) 1日3回、制限なし 医療用の1/2量
六君子湯Aエキス細粒 三和生薬 粉(細粒) 1日3回、4歳以上 医療用の4/5量
ギャクリア 小林製薬* 粉(顆粒) 1日3回、15歳以上 医療用の1/2量

*ビャクジュツではなくソウジュツを使用

清水 みゆき
ギャクリアは胃酸の逆流による胃の痛みや嘔吐を改善する薬として小林製薬から販売されています。
カタカナの名前ですが、漢方薬の六君子湯と成分は同じです。
逆流性の<ギャク>からついた名前と想像しています^^

 

六君子湯の漢方薬メーカーによる違い

漢方薬のメーカーによって六君子湯を構成する生薬の成分の種類や量が違います。

医療用(処方箋が必要)の漢方薬の六君子湯の生薬の種類と量の違いについて表にまとめました。

■主な医療用漢方薬の六君子湯の成分量の一覧

ニン
ジン
ハンゲ ブク
リョウ
ビャク
ジュツ
ソウ
ジュツ
チンピ タイ
ソウ
カン
ゾウ
ショウ
キョウ
ツムラ 4 4 4 4 2 2 1 0.5
クラシエ 4 4 4 4 2 2 1 0.5
コタロー 4 4 4 4 2 2 1 0.5
東洋薬行 3 3 3 3 2 2 1.5 2**

*数字の単位はg、図解漢方処方のトリセツ 川端和義著より抜粋
**生ショウキョウ

生薬量でみると、東洋薬行の六君子湯は独特のバランスですね。
生ショウキョウをつかっているので、吐き気を抑える働きはやや強め。

また、医療用ではツムラの六君子湯のみ、
市販薬では、ツムラと小林製薬のギャクリアはソウジュツが使われています。

ソウジュツとビャクジュツの違い、使い分けについては、諸説ありますが、
ビャクジュツは脾を補うはたらきがより強いとされており、
「新一般用漢方処方の手引き」では、ビャクジュツが望ましいとされています。

清水 みゆき
日本のきまりでは、「朮(ジュツ)」と記載したものは、ソウジュツ(蒼朮)とビャクジュツ(白朮)のどちらを使ってもよいということになっていますが、違う生薬なので体質に合わせたものを選ぶという考え方をすることもありです!

以上のことから、医師が処方する場合、メーカーによる生薬の違いを考慮して六君子湯を使い分けることも大いにあります。

市販の漢方薬の六君子湯の選び方

漢方薬ごとに配合できる生薬の量の限度が決められており、その基準内の最大量を配合した処方を満量処方といいます。

つまり、満量処方の六君子湯=医療用(病院で処方される)六君子湯と同じ成分量が入っている
というわけです。

残念ながら、市販の六君子湯には満量処方のものはありません。

一番、生薬(成分量)が多かったのが三和生薬の六君子湯です。

■市販の三和生薬の六君子湯

三和生薬の六君子湯は、市販薬のなかで一番成分量が多い(4/5量)のが特徴です。

[amazon asin=”B07YNYGV7N” kw=”【第2類医薬品】六君子湯Aエキス細粒30包”]

三和生薬株式会社は、医療用の漢方薬「加工ブシ末」でおなじみのメーカー。

六君子湯にはブシは含まれていませんが、漢方薬を一貫製造している信頼できるメーカーだと感じています。

三和生薬の六君子湯はamazonなどのネット通販では購入できますが、ドラックストアなどでは販売されていないかもしれません。
ツムラやクラシエの六君子湯、ギャクリアはドラックストアや薬局でも売っていると思います。

清水 みゆき
三和生薬以外の市販の六君子湯は、全て医療用の1/2量です。
量的には、どれを選んでもあまり変わらないと考えられます。

ただ、ツムラの六君子湯とギャクリアは、ソウジュツを使っている点を考慮すると、
水の巡りをよくする・痛みをとる働きから、
胃がもたれる・痛みがあるという場合には、おすすめです。

市販のツムラの六君子湯

[amazon asin=”B07B7RCS9F” kw=”【第2類医薬品】ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒 10包”]

ギャクリア(小林製薬)

[amazon asin=”B00MA6KJ3U” kw=”【第2類医薬品】ギャクリア 10包”]

 

さいごに:市販の漢方薬 六君子湯のメーカーごとの違いと選び方のコツ

この記事では、市販の漢方薬、六君子湯のメーカーごとの違いについて詳しく解説しました。
六君子湯は胃腸の調子を整え、消化不良や食欲不振に効果的な漢方薬です。

市販の六君子湯には、医療用と同じ成分量(満量処方)はありません。
三和生薬の六君子湯が成分量が最大(4/5量)です。
また、ツムラの六君子湯と小林製薬のギャクリアは、他と異なりソウジュツを使用している点が特徴です。
市販の六君子湯を選ぶ時にお役立てください!