こんにちは。
ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水です。
飛行機に乗ると、耳がつまった感じになることありませんか?
唾をのみこんで耳抜きしてやっとなおる、あの嫌な感じ。
これは、気圧の調整をする耳管のはたらきがうまくいっていない状態です。
私は飛行機に乗るといつもなってしまいます^^;
あの耳の違和感がずっと続くと・・・つらいですよね。
この耳の詰まりや聞こえの違和感は、
妊娠中にあるマイナートラブルの一つです。
耳管開放症といいます。
もし、妊婦の時だけ限定の症状だったら、私と同じように様子をみてもよいと思います。
ただ、我慢できないほどひどい場合や出産後も続く場合は、なんとか改善したいですよね。
それも、できれば、ママや赤ちゃんにも安心な方法を選びたいところ。
漢方薬は、副作用が少ないことから、
妊娠時のマイナートラブルに使われることが多いです。
耳管開放症の改善には、加味帰脾湯(かみきひとう)という漢方薬がよく使われています。
この記事では、耳がふさがれているような感じで音が聞こえにくい、耳のつまりや違和感がする、
そんな耳管開放症で悩む妊娠中のプレママさんのために、漢方専門の薬剤師がオススメする加味帰脾湯という漢方薬についてお話します。
・耳が聞こえにくい、耳の詰まり感や違和感で悩んでいる妊娠中の方
・妊娠中や授乳中に漢方薬の加味帰脾湯を飲んで大丈夫か不安な方
目次
妊娠中に多い耳の詰まり感や違和感といった耳管開放症の原因は自律神経の乱れ
耳管開放症とは、耳と鼻やのどをつなぐ管の耳管が開きっぱなしになって起きる病気です。
・耳がつまった、ふさがれた感じがする
・自分の声が耳に大きく響く
・耳鳴りやめまいがする
こんな症状が見られます。
耳の違和感が続くと、精神的にもイライラしてきますよね。
耳管の開け閉めは、
自律神経によってコントロールされています。
交感神経と副交感神経のバランスで成り立っています。
交感神経は、体の活動時や昼間に活発になり、
副交感神経は、安静時や夜に活発になります。
交感神経が優位になると、
耳管は開き気味になり、
副交感神経が優位になると、
耳管は閉じ気味になります。
つまり、疲れやストレス、気圧の変化などが原因で、
自律神経のバランスが崩れると、耳管開放症が起こりやすくなります。
また、ホルモンバランスも影響していて、
妊娠中に耳の症状が出やすい原因のひとつです。
急激なダイエットでの体重の減少した場合も要注意です。
耳管開放症 耳管開放症についてはこちらのHPが詳しいです。
金沢市立病院耳鼻咽喉科「耳管開放症ホームページ」
耳管開放症を原因から治すために、
自律神経のバランスをととのえる漢方も有効です。
どんな漢方が良いのか、
漢方専門の薬剤師の私がオススメするものをご紹介しますね!
漢方の加味帰脾湯(かみきひとう、137番)は自律神経のバランスをととのえて耳管開放症を改善する
耳管開放症の治療によく使われる漢方薬は、
加味帰脾湯(かみきひとう)です。
胃腸のはたらきを助けながら、
足りない<血(けつ)>を補います。
特徴的なのが、副交感神経の働きを整えるところ。
15種類の生薬からできていて、
遠志(オンジ)、リュウガンニク、酸棗仁(サンソウニン)、大棗(たいそう、なつめ)といった、
メンタルヘルス、精神安定に効果がある生薬が含まれています。
体力がないタイプの貧血、不眠、精神不安にも使われる漢方薬です。
特に、イライラしたり、落ち着きがないという症状もある場合に合います。
こちらはクラシエの加味帰脾湯。
医療用の加味帰脾湯の1/2量です。
クラシエ薬品 2007-07-01
売り上げランキング : 817
|
*ツムラの加味帰脾湯は市販されていないようです。
疲れやストレスなどが続くと
副交感神経は抑制されて、
交感神経が優位になりがち。
すると、
耳管も開きっぱなしになって症状が起きます。
そういう時に、加味帰脾湯を飲むと、
おだやかに副交感神経に働きます。
副交感神経に働きかけて、興奮を鎮めてくれるんですね。
すると、
耳管も閉じきみになります。
このように、加味帰脾湯は、
自律神経のバランスを整えて、耳管開放症を改善します。
精神を安定させるはたらきは、
ストレス解消にもつながって、
耳管の開放症状の改善にもつながります。
また、加味帰脾湯には、
女性のホルモンバランスを整えるはたらきもあるので、
耳管開放症に効果的です。
ちなみに、文献で読んだ加味帰脾湯の耳管開放症への有効率は
70%ほどでした。
全員に100%効くわけではないですが、
他に有効な薬がないので、試してみる価値はあると思います!
加味帰脾湯は妊娠中や授乳中に飲んでも大丈夫?気になる副作用は?
漢方薬は副作用が少ないので、
妊娠中のトラブルに使われることが多いです。
ただ、全ての漢方が安全なわけではなく、
注意して使うべき漢方薬もあります。
妊娠中に<絶対に>飲んだらダメという禁忌薬は、
医療用の漢方薬(エキス製剤)には使われていません。
絶対に飲んだらダメというわけではないけど、
飲まない方がよいという区分に入るのが、慎用薬です。
加味帰脾湯の場合は、
酸棗仁が慎用薬になります。
でも、子宮に対する作用はありませんし、
妊娠時の貧血にも使われてる漢方です。
これまでの使用経験からも
妊娠中の加味帰脾湯は安全性が高いと判断できると思います。
ただ、漢方薬、西洋薬に限らず、
妊婦さんは不要な薬は飲まない方がいいもの。
なので、
耳管開放症の症状がつらくて生活に支障が出る場合には、
赤ちゃんに影響がないと安心して加味帰脾湯を飲む
このようにしたらいいと思います。
不眠を改善する漢方薬なので、
副作用として、日中に眠気を感じる方もいらっしゃるようです。
実際に、勤務先の薬局でもお話を聞いたことがあります。
授乳中の加味帰脾湯の服用は、問題ないです。
まとめ
妊娠中に多い耳の違和感、耳管開放症の改善には漢方の加味帰脾湯が有効
耳がふさがれているような感じで音が聞こえにくい、
自分の声が響いて聞こえる、
耳が聞こえにくい、
こんな耳のつまりや違和感は、
耳管開放症という、妊娠中にあるマイナートラブルのひとつです。
出産後は改善することが多いので、
妊娠した時限定ならば、あまり心配する必要はありません。
でも、生活に支障がでるほどの症状だったり、
産後も続くようだったら、漢方薬も有効な選択肢になります。
耳管開放症によく使われる漢方は、
自律神経のバランスを整える加味帰脾湯です。
加味帰脾湯は、妊娠中の貧血にも使われる漢方薬。
薬の使用が難しい妊娠中でも、
比較的、安心して服用することができます。
産後の授乳中の服用も問題ありません。
耳の症状で悩む妊娠中のプレママさんや授乳中のママさんにお役にたつとうれしいです。