市販の五苓散の違いや選び方を解説、最適な漢方薬をみつけよう!

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漢方薬剤師の清水みゆきです。

この記事では、市販の漢方薬の五苓散(ごれいさん)の違いについて、成分や剤型(錠剤や顆粒)に注目して解説します!

清水 みゆき
五苓散は頭痛やむくみ、下痢、熱中症対策などいろいろな不調に役立ち、子どもから大人まで安心してのめる漢方薬。
家に常備しておくと便利です^^

たくさん販売されている市販の五苓散の中から、私がおすすめする漢方薬もご紹介します。

この記事を書いた人

清水みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師およびJAMHA認定ハーバルセラピストの資格を持つ専門家。
大学院卒業後、製薬企業の研究職を経て、現在は漢方調剤薬局に勤務。
漢方とハーブの知識を活かして自然の力で健康づくりをサポートする活動をしています。

五苓散(ごれいさん)とはどんな漢方薬?

漢方薬の五苓散の画像です。

五苓散は、体の余分な水分を排出するはたらき(利水作用)があり、体内の水分バランスの乱れをととのえて、正常にします。

清水 みゆき
五苓散は5種類の生薬からなり、そのうちの4つ、茯苓(ブクリョウ)、沢瀉(タクシャ)、蒼朮(ソウジュツ、もしくは白朮;ビャクジュツ)、猪苓(チョレイ)が水分代謝をととのえるはたらきがあります。

余分な水分だけを排出するので、体に必要な水分まで取り除いてしまうというリスクがないのがポイントです。

五苓散は、体の水分バランスの乱れにより生じる、めまいや頭痛、下痢、吐き気、むくみ、二日酔いなどに使われます。

【効能効果】
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹*のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔
*しぶり腹とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すもののことである。

ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒Aの添付文書より引用

 

 

市販の五苓散の一覧表

市販されている主な五苓散について、わかりやすく一覧表にしました。

剤型・包装 用法 成分量
「クラシエ」漢方五苓散料エキス 粉(顆粒)
12包・48包
1日3回、制限なし 医療用の1/2量
 クラシエ五苓散 錠剤 180錠 1日3回、5歳以上 医療用の約1/2量
ツムラ漢方五苓散料エキス顆粒A 粉(顆粒)
10包・48包
1日2回、2歳以上 医療用の1/2量
阪本漢法の五苓散エキス 粉(顆粒)15包 1日3回、2歳以上 満量処方*1
てんぐ五苓散 粉(顆粒)30包 1日3回、2歳以上 生薬量少なめ
宇津救命丸五苓散 粉(顆粒)10包 1日3回、制限なし ほぼ満量処方*1
ビタトレール
東洋の五苓散料エキス
粉(顆粒)30包 1日3回、4歳以上 医療用の約1/2量
テイラック 錠剤 48錠 1日3回、5歳以上 満量処方*1
キアガード 錠剤
24錠、48錠
1日3回、5歳以上 満量処方*2
アルピタン 粉(顆粒)
6包、12包
1日3回、2歳以上 満量処方*1

漢方薬ごとに配合できる生薬の量の限度が決められており、その基準内の最大量を配合した処方を満量処方といいます。

つまり、満量処方の五苓散=医療用(病院で処方される)五苓散と同じ成分量が入っている
というわけです。

また、漢方薬のメーカーによって五苓散を構成する生薬の成分量が違います。

■主な医療用漢方薬の五苓散の成分量の一覧

タクシャ チョレイ ブクリョウ ビャク
ジュツ
ソウ
ジュツ
ケイヒ ケイシ
ツムラ 4 3 3 3 1.5
クラシエ 5 3 3 3 2
コタロー 6 4.5 4.5 4.5 2.5
東洋薬行 5 3 3 3 2

*数字の単位はg、図解漢方処方のトリセツ 川端和義著より抜粋

生薬量でみると、コタローの五苓散が全体的に多いですね。
また、東洋薬行の五苓散は、原典通り、ケイシ(桂枝)を使っているところがポイントが高いです。
ツムラは、ソウジュツを使っており、五苓散の湿への働きを考えると、より適しているといえます。
クラシエはバランスがいいですね。

医師が処方する場合、同じ五苓散を使うにしても、メーカーによる生薬の違いを考慮することも大いにあります。

市販の五苓散一覧表の「満量処方」のうち、*1は医療用のクラシエの五苓散と同じ生薬量、*2は医療用のツムラと同じ生薬量となります。

市販の五苓散の場合、安全性を重視してわざと生薬量を減らしているメーカーもあるため、また選び方が変わってきます。

私がおすすめする市販の五苓散

クラシエとツムラの五苓散は、それぞれ医療用の半分の生薬量で市販されています。

漢方メーカーとして安定した品質は魅力的ですが、個人的には量的に少ないと五苓散の効果も微妙になるかなと感じます。

市販の五苓散のなかから、私がおすすめするものをご紹介します!

阪本漢法の五苓散エキス、アルピタン

医療用漢方ではなじみが薄い坂本漢法製薬ですが、創業は大正8年と歴史があるメーカーです。
(マムシドリンクで有名かも…)

坂本漢法の市販の漢方薬は、「満量処方」にこだわっているのがポイントです。

清水 みゆき
五苓散は2023年発売と比較的、新しいのに驚きました。
きっと、これから市販の漢方薬の販売に注力されるのだと期待しています!

医療用のクラシエの五苓散と同じ成分量を含む顆粒剤(粉薬)という点でおすすめです。

アルピタンも名前に「五苓散」とは書いていませんが、満量処方の顆粒の五苓散です。
(小林製薬)

清水 みゆき
漢方薬のベストな飲み方、お湯に溶かして服用することができるので顆粒剤(粉薬)を一番のおすすめとしています。

 

キアガード、テイラック(錠剤)

五苓散は味に苦味などがなく、飲みやすい漢方薬です。

それでも、やっぱり「粉(顆粒)で漢方薬をのむのは嫌だ」「錠剤の方がのみやすい」という方には、錠剤タイプで満量処方のキアガード、テイラックがおすすめです。

キアガードはツムラの医療用五苓散と同じ成分量(ソウジュツ配合五苓散)

テイラックはクラシエの医療用五苓散と同じ成分量(ビャクジュツ配合五苓散)
(小林製薬)

 

五苓散のソウジュツとビャクジュツの違い

厳密な使い分けはありませんが、
より水分調節作用を期待したい場合はソウジュツ配合五苓散のキアガード、
胃腸が弱い方には、ビャクジュツ配合五苓散のテイラックという選び方でもよいと思います。

どちらも大人の場合、1回4錠の服用です。
キアガードは24錠入りで1430円(定価)、テイラックは24錠入りで1100円(定価)なので、定価だとテイラックの方が割安感がありますね。

 

宇津救命丸五苓散

小さなお子さんの下痢や車酔いなどにも五苓散は役立ちます。

宇津救命五苓散は、ほぼクラシエの医療用の五苓散と同じ成分量を含み、添付文書上、年齢制限のない漢方薬です。

お子さんを含む家族みんなで同じ五苓散を備えておきたい場合におすすめです。

さいごに:

この記事では、市販の漢方薬の五苓散について、その成分(種類や量)や剤型(顆粒か錠剤か)の違いを詳しく解説しました。

五苓散は、体の余分な水分を排出し、水分バランスを整える効果があり、頭痛やむくみ、下痢、熱中症対策などいろいろな不調に役立つ漢方薬です。

五苓散は家に常備しておくと便利です。

とくにおすすめの市販の五苓散として、満量処方で効果が期待できる阪本漢法の五苓散エキス、アルピタン、錠剤タイプのキアガード、テイラック、そして服用に年齢制限のない宇津救命丸五苓散を紹介しました。

市販されている多くの五苓散の中から、成分や剤型の違いを理解して自分に合ったものを選びましょう!