こんにちは。
漢方薬剤師の清水 みゆきです。
猛暑が続く夏、熱中症が心配な時期です。
熱中症予防には、「どうして熱中症になるのか?」ということを正しく理解することが大切!
この記事では、熱中症の症状や注意すべきサインなどについて分かりやすく解説します。
目次
熱中症になる原因
熱中症というのは、温度や湿度が高くなったときに体が環境にうまく対応できなくなっておきます。
つまり、体に熱がこもって、オーバーヒートしてしまった状態です。
もともと私たちの体には、まわりの気温が高くなっても、体温が上がりすぎないように、体温を一定に保つための仕組みが備わってします。
・ひどい暑さや激しい運動や仕事をして体温が上がる
↓
・汗をかく
*汗は、蒸発するときにからだの熱をうばって体温を下げます。
↓
・熱をもった血液を外に近い皮膚に集める
*皮膚を介して外気と触れることで、熱をもった血液を冷やします。
(なので、皮膚の温度が上がります)
こうやって、からだの温度がいつも平熱(36.5℃くらい)になるように調節されているんですね。
全部、無意識的に体がやっていること。
すごいですよね!!
そして、この体温を調節するはたらきには、自律神経が深く関わっています。
ずっと暑いところ、つまり高温の環境にいると、この自律神経のはたらきが乱れてしまいます。
さらに、水分が不足して脱水状態になってしまうと、汗や血液の量が減ってしまい、体温が調節そのものがうまくできなくなってしまいます。
すると、体に熱がこもってオーバーヒートして、熱中症になってしまいます。
「気温が高い、炎天下」という暑い日だけなく、
「湿度が高い、風が弱い」ときも、汗が蒸発しにくく、からだに熱がこもりやすくなるため危険です。
熱中症の症状、注意すべき熱中症のサイン
熱中症とひとことで言っても、段階別に症状は違います。
わかりやすく解説していきますね。
熱中症の症状1:熱しっしん(たちくらみ、めまいなど)
前述したように、体温が上がるとその熱を外に出すために、からだの血液が皮膚に集まります。
すると、一時的に、脳への血液が不足してしまいます。
その結果、「顔色が悪くなる」「たちくらみ」「めまい」といった症状があらわれます。
これが熱しっしんという状態です。
熱しっしんは割とよくある症状です。
(私も経験ありです^^;)
熱中症の症状2:熱けいれん(足がつる、手足のけいれん)
ひどい暑さや運動でいつもよりたくさんの汗をかいた場合、足がつる(こむらがえり)、手足のけいれんが起きることがあります。
これが熱けいれんという状態です。
汗には、水分と電解質(とくに塩分)が含まれています。
なので、大量の汗が体の外にでることで、体の塩分(ナトリウム)が不足してしまい、手や足の筋肉のけいれんがおきてしまいます。
「汗をたくさんにかいたのに、水ばかり飲んで塩分の補給をしなかった」という時にも熱けいれんは起きやすいです。
熱中症の症状3:熱疲労(頭痛、吐き気、だるさ、寒気)
暑さや運動、仕事などでたくさん汗をかいたのにきちんと水分を補給しなかったら・・・体は脱水状態になってしまいます。
脱水状態になって水分が足りなくなると、血液の量自体も減ってしまいます。
体に血液がめぐらなくなると、必要なところに酸素や栄養を運べなくなるので、体にチカラがはいらなくなったり、だるい感じの倦怠感が生じます。
脱水がひどくなるため頭痛や吐き気、嘔吐、寒気などの症状もみられます。
これが熱疲労という状態です。
熱疲労の段階では、まだ意識はしっかりしています。
体温も平熱のまま。
適切な水分(塩分)補給や点滴などの治療で回復します。
熱中症の症状4:熱射病(発熱、意識障害)
熱疲労の症状に気づかず、きちんと水分や塩分を補給しなかったり、そのまま無理して運動や仕事などの活動を続けてしまうと、脱水状態がさらに悪化していまいます。
すると、自分で体温を調節できなくなって、汗もかけなくなってしまいます。
体に熱がこもってしまって、40℃をこえる高熱がでたり、脳がダメージをうけて意識障害がでることもあります。
これが熱射病の状態です。
熱射病は一番危険な熱中症。
命にかかわることもあります。
これは、熱中症の中でも直射日光が原因でおきたものです。
熱中症対策は早め、まだ症状が軽いうちに!
熱しっしん→熱けいれん→熱疲労→熱射病
というように、熱中症は連続して進んでいきます。
熱疲労は、熱射病の一歩手前とされていますが、今の状態が、熱疲労なのか、熱射病なのか、判断するのは難しいですよね。
しかも、炎天下での猛暑や激しい運動では、短時間であっという間に、熱射病になってしまうこともあります。
症状が一気に重症の熱射病へ加速するのを防ぐために、「顔色が悪い」「顏が真っ赤」「めまい」「立ちくらみ」「手足のこわばり」といった熱中症のはじめの段階で、早めに早めに対応していくことがとっても大切です。
・話のつじつまがあわない
・声をかけても返事がない
・嘔吐して、自分で水分が飲めない
こういう時は、迷わずすぐに救急車を呼びましょう。
体が教えてくれるサインを見逃さないようにしていきましょうね!
たちくらみ、めまい(熱しっしん)、こむら返り(熱けいれん)の段階では、一般的には、水分補給・冷やす・休憩で様子をみます。
ただ、しばらくしても回復しない場合は、念のために、受診した方がよいです。
(お子さんの場合は小児科、大人の場合は内科。)
「なんだか、いつもと様子が違う」そう感じるときは、迷わず受診しましょう。
熱中症になりやすい人の特徴とは?
気温や湿度といった環境条件以外で、「熱中症になりやすい人」がいることを知っていますか?
以下にあてはまる場合、熱中症になりやすいと考えらえます。
とくに注意してくださいね。
1:お腹の脂肪が気になる、太り気味の人
皮下脂肪が多いと、熱がこもりやすいため。
2:子ども(とくに10代以下)
汗をかくなど体温を調節するはたらきがまだ十分発達しておらず、照り返しの影響を受けやすいため。
子どもは、遊びなどに夢中になると、「水分をとる」ということも忘れてしまうので、周りの大人が水分補給を気をつけてあげることが大切です。
3:授乳中のお母さん
母乳に水分を取られて水分不足になりがちなため。
4:ご年配の方
体温調節機能の低下や加齢による水分量の低下、喉の渇きを感じにくいため。
5:体調が悪い時
睡眠不足や過労が続くと体温調節機能も低下しがち。
さらに、二日酔いや下痢でからだの水分が減っている状態では熱中症リスクが高くなります。
また、暑くなり始めの時期は、暑さになれていないため注意が必要です。
さいごに:熱中症になりやすい人の特徴とは?原因や症状を正しく理解しよう
暑い夏は熱中症に注意が必要です。
暑さや湿気といった環境条件で運動や仕事で大量の汗をかいて、体温調節機能がうまく働かなくなると、熱中症のリスクが高まります。
熱中症の症状が出た場合は、無理せず休憩して、水分(塩分)補給をしっかりするようにしてください。
まだ軽い症状のうちに対策することが大切です。
とくに、体調が悪い時や太り気味の方、子ども、ご年配の方、授乳中のお母さんは注意が必要です。
この記事を読んで、熱中症に対して正しい知識を持ち、きちんと対策をして予防しましょう!