こんにちは。
ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水 みゆきです。
この記事では、個人輸入や海外で買う漢方や健康食品に潜むリスクについて、漢方薬で腎不全の副作用が起きた例を中心にお話します。
以前、「ステロイド成分が入った保湿クリームが回収される」というニュースを見ました。
しかも驚いたことに、医薬品として未承認のステロイド成分だったとのこと。
そんなことがあるなんて・・・もう、びっくりです。
でも、実は、漢方薬でも、入っているはずのない成分で腎不全の副作用が問題になったことがあります。
詳しくお話していきますね。
日本では医薬品として未承認のステロイド成分が使われた化粧品
以下、YAHOOニュースより抜粋です。
含んだ保湿クリームを販売したとして、
製品の販売中止と回収を指示したと発表した。
購入者からの情報提供を受けて成分を調べたところ、
化粧品への配合が禁止され、
医薬品としても未承認のステロイド成分が検出された。
ステロイドといえば、炎症を抑えるお薬として有名です。
ステロイドを使うことの是非はここではおいといて・・・
まず、ステロイドが入っている保湿クリームを
入っていると知らずに、毎日のように使うとどうなると思いますか?
皮膚がうすくなってしまう
副作用が出やすくなってしまいます。
特に、顔はステロイドの吸収がよい部分なので、副作用がでやすいです。
ステロイドも、強さも、種類もいろいろです。
このニュースで特にひっかかったのは、
日本では医薬品としても未承認のステロイド成分が使われていたということ。
日本で医薬品として承認されるということは、
とっても大変なことです。
薬の品質に対する試験はもちろんですが、
効果や副作用を確認する臨床試験もしっかり行われたものだけが、医薬品として承認されます。
なので、未承認のものは、効果も疑わしいし、
副作用の可能性も高いということになります。
漢方薬の材料に使われる生薬でも、
海外から輸入されたもので、問題になったことがあります。
個人輸入や海外で買った漢方薬や健康食品で腎臓に副作用
日本では<木通(もくつう)>といわれる生薬があります。
あけびのつる(アケビ科)です。
漢方薬では、
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
しもやけや手足の冷えにつかわれる漢方薬、
・消風散(しょうふうさん)
皮膚のかゆみなどにつかわれる漢方薬、
などに使われています。
同じ木通でも、中国では、
ウマノスズクサ科の<関木通(かんもくつう)>とよばれるものがあります。
そして、この関木通には、木通にはないアリストロキア酸という成分が含まれています。
このアリストロキア酸を含んだ漢方薬を飲んで、
腎不全(腎臓の機能が低下)が起きました。
チャイニーズハーブ(漢方薬)腎症と呼ばれています。
現在は、アリストロキア酸が含まれる漢方薬は回収され、
日本の製薬会社が作る漢方薬にはアリストロキア酸は含まれていないようです。
でも、個人輸入や海外で買う漢方には、アリストロキア酸が含まれている可能性があります。
つまり、腎臓機能の低下、腎不全の副作用のリスクがあるということですね。
外国で製造された漢方薬で、構成生薬に<関木通(もくつう)>や<木通(もくつう)>が含まれている場合は注意してください。
*海外では、木通(もくつう)と称して、実際は関木通が使われていることもあります。
ちなみに、日本の木通には、アリストロキア酸は含まれていません。
木通以外にも、広防已(こうぼうい)や細辛(さいしん)の地上部もアリストロキア酸を含むので要注意です。
同じく、腎機能低下、腎不全の副作用の恐れがあります。
海外で漢方を買ったり、個人輸入する場合は気をつけてください。
日本では、防已(ぼうい)、細辛の地下部を使っているので、問題ありません。
まとめ
というわけで、
個人輸入や海外で買う漢方や健康食品に潜むリスクについて、漢方薬で腎不全の副作用が起きた例を中心にお話しました。
「漢方薬は、副作用もなくて安心」
そう思いがちですが、漢方薬といえども、お薬です。
きちんとした品質のものを、正しく使っていくことが大切です。
漢方薬に限らず、健康食品や化粧品などインターネットや海外で買う場合は、十分に気をつけてくださいね。