こんにちは。
ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水みゆきです。
この記事では、大人になってから喘息発症、咳発作が悪化しないか不安な方にオススメの漢方薬について、漢方専門の薬剤師がお話します。
咳や痰が止まらない、ゼーゼーする、息苦しいといった喘息の症状。
発作がひどければ、最悪の場合、死につながる病気です。
喘息の治療は吸入ステロイド薬が中心です。
咳ない落ち着いた状態になっても、発作を予防するために続ける必要があります。
「長い間、吸入ステロイドを使い続けても大丈夫かな?」
「今は大丈夫だけど、また喘息発作が悪化しないか心配・・・」
そんな不安を感じている方も多いと思います。
勤務先の薬局でもよく相談をうけます。
実は、喘息の症状が落ち着いた時期は、喘息の体質改善によいタイミング。
漢方もやさしくしっかりとサポートしてくれます。
それでは、具体的にどんな漢方薬があるのか、
この記事では、大人になってからの喘息の原因の解説とともにお話しますね。
・大人になってから喘息になった方
・喘息発作の悪化が不安な方
・吸入ステロイド薬を続けることに不安がある方
目次
大人になってから喘息になる原因
大人になってから喘息発症する方が増えています。
もちろん、子ども頃のぜんそくが再発する場合もあります。
でも、大人の喘息は、大人になって初めてなるというケースの方が多いです。
喘息の症状といえば、ゼーゼーする咳、痰、息苦しさがメインです。
特に、夜から明け方にかけてひどくなることが多いです。
喘息は、気道での空気の通りが悪くなって起きます。
その原因の一つとして、
気道に炎症がおきて、気道の粘膜がむくんで狭くなることがあります。
この気道の炎症をくり返すと、気道そのものが過敏になってしまいます。
すると、冷たい空気や花粉やダニなど、外からの刺激に反応しやすくなります。
ちょっとしたきっかけで喘息発作を引き起こしてしまいます。
大人の喘息では、アレルギーが関係しない喘息も多いです。
検査では、原因がはっきりわからないこともありますが、
風邪、過労、ストレスが喘息の発症と深い関係があると考えられています。
喘息の治療では、咳ない安定した状態を続けることが大切
喘息は、気道の炎症が原因で起きます。
なので、
気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬が、喘息治療のファーストチョイスです。
喘息発作の時に狭くなった気道を広げる薬もあわせて使われます。
「咳が出なくなったから、吸入ステロイド薬も中止したい」
そう思うかもしれませんが、自己判断での中止は喘息を悪化させることがあります。
というのは、
咳ない、喘息の発作がおさまっている時期でも、気道には炎症がまだあるからです。
炎症がおきたままだと、発作の起こりやすい状態が続いているということです。
発作を予防する治療が必要です。
吸入ステロイド薬の減量や中止、やめどきについては、明確な基準がありません。
大人の場合、半年以上よい状態が続けば、吸入薬の量を減らし、さらに状態が安定したら中止という流れが一般的です。(喘息の症状や治療歴、年齢などで個人差があります。)
吸入薬を中止した後も、風邪や季節の変わり目などで症状が出ることもあるので、注意が必要です。
喘息発作が落ち着いても、
また咳こみが悪化しないか不安だったり、ストレスを感じる方も多いですよね。
そういう時には、漢方薬にサポートしてもらいましょう!
喘息が起きにくい体つくりにもつながります^^
ストレスで悪化する喘息、喘息発作が不安な方にオススメの漢方薬、柴朴湯(さいぼくとう、96番)
柴朴湯の喘息に対する効果
喘息発作がまた起きないか不安、
咳の苦しさがストレス、
気分がふさぎがちで、不安感やイライラがある方の喘息の体質改善によい漢方薬が柴朴湯(さいぼくとう)です。
柴朴湯は、2つの漢方薬を組み合わせてできています。
・小柴胡湯(しょうさいことう):胸のあたりの炎症を鎮める
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):気の巡りをよくする、咳や喉のつまり感を改善する
柴朴湯=小柴胡湯+半夏厚朴湯です。
つまり、柴朴湯は、
小柴胡湯で呼吸器の炎症を抑えて、
半夏厚朴湯で呼吸を楽にする、気持ちを穏やかにする
こんな漢方薬ということですね!
柴朴湯は、喘息に対する臨床研究での効果も報告されています。
ステロイド薬の減量につながった症例もあります。
喘息が落ち着いている時期に柴朴湯を飲むことは、喘息の予防や喘息になりにくい体つくりにもつながります。
ただ、柴朴湯は、喘息発作をとめる効果はありませんので、注意してくださいね。
柴朴湯は市販薬として薬局で購入できる
柴朴湯は市販されており、薬局で買うこともできます。
市販薬の柴朴湯の成分量は、医療用の半分量で少ないです。
できれば、喘息で通院している病院の医師に相談して、医療用の柴朴湯を処方してもらう方がいいです。
(症状や体質にあっているかも確認できます)
もし、市販薬の柴朴湯を飲む場合は、
1日3回しっかり忘れずに服用すること、
症状が悪化した場合は医師に相談することが大事です。
「柴朴湯はどれくらい続ければいいですか?」という質問もよくあります。
吸入ステロイド薬と同じく、明確な基準はありませんが、
個人的には、喘息発作が全く出なくなってから1年くらいは飲み続けた方がよいと思います。
柴朴湯と吸入ステロイド薬の併用は可能?
レルベア、アドエア、シムビコートなどの吸入ステロイド薬と柴朴湯の併用には、問題ありません。
喘息発作が落ち着いている時期に使われる漢方薬には、柴朴湯の他にも、麦門冬湯、補中益気湯、神秘湯などいろいろありますが、併用に問題ありません。
安心してくださいね^^
吸入ステロイド薬で喘息発作をコントロールしつつ、漢方薬で体のベースもつくる。
そして、焦らずに、
吸入ステロイド薬の減量、中止という流れでいくと、無理がないかと思います。
さいごに
というわけで、
大人になってから喘息になり、喘息発作が悪化しないか不安でたまらない、
そういう時にやさしくサポートしてくれる、漢方薬の柴朴湯についてお話してきました。
喘息発作が落ち着いている時期は、体質改善によいタイミングです。
漢方の柴朴湯は、ストレスで悪化する喘息や、発作への不安やストレスが強い場合に効果的です。
不安を解消して、安定した状態を続けて、喘息の症状が出にくい体つくりをしていきましょう!