漢方薬は体質改善のために長く続けてのむものですか?

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この記事を書いた人

清水みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師およびJAMHA認定ハーバルセラピストの資格を持つ専門家。
大学院卒業後、製薬企業の研究職を経て、現在は漢方調剤薬局に勤務。
漢方とハーブの知識を活かして自然の力で健康づくりをサポートする活動をしています。

漢方薬のイメージを聞くと、

「長い時間続けて飲まないと効果がでない。」

「効きめが穏やかでゆっくりと効いてくる。」

「体質改善のためにのむお薬。」

こういう言葉がならぶことが多いです。

確かに、そういう使われ方をする漢方薬も多いです。

例えば、イネ科植物に反応する方は、秋もつらい花粉症。

花粉症は、スギ林が増えたり、大気汚染物質など、
私たちをとりまく環境の変化も原因のひとつですが、
アレルギーを起こしやすい体質も関係しています。

体質が関係しているから、個人差がでるんですね。

漢方的には、からだのバランスがくずれて、
それが、からだのある部分(花粉症は鼻や目、のど)に
症状としてでてしまった結果と考えます。

だから、からだのバランスを整えること
=体質を改善していくことが、花粉症の改善につながります。

このように、健康になるために、体質を改善して、
原因を根本から治療することを<本治(ほんち)>といいます。

この場合、長く続けて漢方薬を服用する必要があります。

体質改善の漢方薬を飲んでいていも、
花粉症の鼻水がとまらない。

つらくてつらくて、今すぐに鼻水がとまってほしい。

そんなときもありますよね。

そういうときは、すぐに効く即効性の別の漢方薬をおすすめします。

「漢方薬がすぐに効くの?」
と不思議そうにされる方もいらっしゃいます。

実際に飲んでみて初めて、漢方薬の切れ味のよさに驚かれるようです。

体質改善にフォーカスするのではなく、
いま出ているつらい症状をなおすことを優先させることを、
漢方では<標治(ひょうち)>といいます。

体調がわるいときや必要なときに、最低限のむ漢方薬です。

すでに困った症状が起きてしまったときのための
即効性がある漢方薬です。

まずは、今でているつらい症状をなおして<標治>、

そのあとで、症状が起きにくい体質に改善していく<本治>。

<標治>と<本治>の2つ同時進行でいく。

地道に体質改善だけ<本治>をやっていく。

花粉症に限らず、治療にはいろいろなパターンがあります。

今でている症状を抑えるために、
漢方薬といっしょに、一時的に西洋薬を使うこともあります。

<標治>と<本治>のどちらがいいか、わるいか、
正しい、間違っているというわけではなく
目的や順番が違うだけですね。

からだの中の何がバランスがくずれているかは、
人それぞれです。

なので、漢方薬は体質、人を選びます。

今の自分の状態を見極めて、自分にあった漢方薬をのむことが大切ですね。