漢方薬のイメージを聞くと、
「長い時間続けて飲まないと効果がでない。」
「効きめが穏やかでゆっくりと効いてくる。」
「体質改善のためにのむお薬。」
こういう言葉がならぶことが多いです。
確かに、そういう使われ方をする漢方薬も多いです。
例えば、イネ科植物に反応する方は、秋もつらい花粉症。
花粉症は、スギ林が増えたり、大気汚染物質など、
私たちをとりまく環境の変化も原因のひとつですが、
アレルギーを起こしやすい体質も関係しています。
体質が関係しているから、個人差がでるんですね。
漢方的には、からだのバランスがくずれて、
それが、からだのある部分(花粉症は鼻や目、のど)に
症状としてでてしまった結果と考えます。
だから、からだのバランスを整えること
=体質を改善していくことが、花粉症の改善につながります。
このように、健康になるために、体質を改善して、
原因を根本から治療することを<本治(ほんち)>といいます。
この場合、長く続けて漢方薬を服用する必要があります。
体質改善の漢方薬を飲んでいていも、
花粉症の鼻水がとまらない。
つらくてつらくて、今すぐに鼻水がとまってほしい。
そんなときもありますよね。
そういうときは、すぐに効く即効性の別の漢方薬をおすすめします。
「漢方薬がすぐに効くの?」
と不思議そうにされる方もいらっしゃいます。
実際に飲んでみて初めて、漢方薬の切れ味のよさに驚かれるようです。
体質改善にフォーカスするのではなく、
いま出ているつらい症状をなおすことを優先させることを、
漢方では<標治(ひょうち)>といいます。
体調がわるいときや必要なときに、最低限のむ漢方薬です。
すでに困った症状が起きてしまったときのための
即効性がある漢方薬です。
まずは、今でているつらい症状をなおして<標治>、
そのあとで、症状が起きにくい体質に改善していく<本治>。
<標治>と<本治>の2つ同時進行でいく。
地道に体質改善だけ<本治>をやっていく。
花粉症に限らず、治療にはいろいろなパターンがあります。
今でている症状を抑えるために、
漢方薬といっしょに、一時的に西洋薬を使うこともあります。
<標治>と<本治>のどちらがいいか、わるいか、
正しい、間違っているというわけではなく
目的や順番が違うだけですね。
からだの中の何がバランスがくずれているかは、
人それぞれです。
なので、漢方薬は体質、人を選びます。
今の自分の状態を見極めて、自分にあった漢方薬をのむことが大切ですね。