厳しい暑さが続く夏。
テレビや新聞だけでなく、スーパーや学校、スポーツクラブなど
あちらこちらで耳にしたり、目にするのが、熱中症という言葉。
夏は特に熱中症予防に気をつけていきたいですね。
熱中症についてこんなご質問メールをいただきました。
「子どもが部活中に気分が悪くなったようで、
帰ってから寝込んでいます。
発熱、頭痛があります。
みゆきさんのメール講座*にあった五苓散を飲ませようと思ったのですが、
主人が買ってきた小児用の頭痛薬を飲ませてしまいました。
調べてみると、熱中症の頭痛には頭痛薬は効かない、
むしろ危険と書かれているサイトが多く、どうしようかと思っています。
五苓散を飲ませても大丈夫でしょうか?」
*期間限定で公開していた無料メール講座のことです。
【無料:メールで学ぶ夏の熱中症対策】
~漢方やハーブで暑い夏を元気に過ごそう!~
結果としては、
五苓散を服用してもなんの問題ないです。
頭痛もちの方は、
まず、漢方薬を飲んで、
効かなかったらロキソニンなどを服用する、
その反対バージョンもよくあります。
五苓散との飲み合わせで危険なことはありません。
今の時期の発熱や頭痛は
熱中症が原因なのか、夏風邪のせいなのか、
なかなかわかりにくいです。
風邪気味で体調がわるくて、
熱中症になってしまうということもありますし・・・。
ただ、熱中症の発熱や頭痛は、
風邪の時とはまったく違うしくみなんです。
この違いを知っていると、
ママの不安も軽くなるかもしれませんね。
ちょっと解説しますね。
風邪の場合は、
免疫力をたかめて、ウィルスと戦うために、
脳が命令して、<わざと>体温の設定温度をあげている状態です。
例えていうなら、
ウィルスにとって居心地のよい36.5℃設定の体温を
わざと、40℃にあげます。
脳が命令していることなので、
通常は40℃をこえることはありません。
ウィルスとの戦いが終わると、
自然と汗をかいて、体温は下がっていきます。
設定温度もいつも通りの36.5℃にもどります。
頭痛の炎症もおさまっていきます。
葛根湯や麻黄湯といった漢方薬は
このからだの発熱してなおる仕組みをサポートしてくれます。
詳しくはこちらのブログ記事も参考にしてくださいね。
「風邪を早く治すために、発熱して風邪と戦う元気なからだ」
熱中症になると、
暑さや運動で高くなった体温を下げるために
たっくさんの汗をかきます。
ひどくなると、
からだの水分がなくなって
脱水状態になってしまいます。
すると、汗がかけなくなって、
体温がさがらない、
高体温状態になってしまいます。
熱中症の場合は、
40℃をこえる高熱になることもあるのがこわいところ。
ただ、汗がかけなくて
体温を調節できない状態なので、
こんなに体温があがってしまっても、
体温の設定温度は、36.5℃で正常のままなんです。
これが風邪の場合とは大きく違うところ。
ロキソニン、イブプロフェンなどの解熱鎮痛薬、頭痛薬は、
<脳の命令で上がった設定温度を元にもどすように>はたらきます。
なので、
風邪の場合の発熱や頭痛には有効ですが、
熱中症のときには、残念ながらほぼ効果がありません。
しかも、高い熱で体力が消耗しているお子さんの場合、
解熱鎮痛薬、頭痛薬を飲むと
熱が下がりすぎてしまうことがまれにあります。
ご質問にあった<頭痛薬のリスク>は
このことじゃないかなとおもいます。
もうひとつ、小児科でもよくつかわれる
<カロナール>というおだやかな薬があります。
脳の体温調節中枢にはたらくので、
ロキソニンとは効き方がちょっと違ってきます。
子どもにも使えるということで、
この薬が処方されることもあるようです。
ですが、
熱中症の根本的な解決にならないので、
個人的にはあまり意味がないとおもいます。
熱がからだにこもって起きる熱中症の発熱や頭痛は、
とにかく冷やすのが一番です。
あとは、水分補給ですね。
そして、あわせて、
漢方薬を使うのも有効です。
漢方薬は、からだの熱をさましたり、
血や水のバランスをととのえて、
熱中症を改善していきます。
これは、解熱鎮痛薬ではできないこと。
すごいとおもいませんか?
熱中症は予防が一番ですが、
いざという時は漢方薬も上手につかっていきましょう。
もちろん、重症な熱中症の場合、
意識がない、水分がとれないというときは、
病院の受診(救急車も含めて)が必要です。
熱中症は我慢は禁物です!!