こんにちは。
ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水 みゆきです。
今回は、春の顔のかゆみや肌荒れの原因となる花粉症皮膚炎(花粉皮膚炎)に役立つ漢方薬についてお話します。
勤務先の薬局で、患者さんからこんな話を聞きました。
「春になると、顔だけものすごくかゆくてヒリヒリします。
肌に触れると刺激になるのか、赤くこすれてしまって、マスクもできません。
たぶん、花粉が原因だと思うんですが、もうつらくてつらくて・・・」
花粉って、鼻や目だけじゃなくって、肌にも影響しているんですね。
花粉症のかゆみには、塗り薬だけでなく漢方薬も効果的なこともあります。
しかも、漢方ではかゆみの原因から解決することも期待できます。
それでは、詳しくお話していきますね!
・春になると顔がかゆくてツライ方
・花粉症皮膚炎のかゆみで悩む方
目次
春になると肌荒れする、顔がヒリヒリ痛い!花粉症皮膚炎の原因は?
春になると、顔が痒くてしょうがない。
いつも使っている化粧品なのに、ヒリヒリ痛い、肌荒れする。
なんでだろう?って悩むこと、ありませんか?
よくある花粉症の症状といえば、鼻水・くしゃみ・目のかゆみ。
でも、花粉で起きるトラブルってそれだけじゃないんです。
花粉症皮膚炎って聞いたことありますか?
花粉の時期だけ、目のまわりや顔全体がかゆくなる症状です。
花粉症は、目だけじゃなくって、かゆみが顔や肌にでることもあります。
花粉皮膚炎は、花粉や他の要因がからんで、
肌が乾燥して、バリア機能が低下してしまって起きる炎症。
つまり、外からの刺激に肌が敏感になっている状態です。
今まで普通に使っていた化粧品が使えなくなったり、
肌が粉をふいたように白くなるといったことも起きてしまいます。
顔は、洋服などに隠されなくて露出しているので、花粉がつきやすいところ。
(目も同じですね。)
なので、花粉が刺激になって、赤くなったり、痒くなってしまいます。
春は、花粉以外にも、肌に負担になる要因がいろいろあります。
・朝夕の気温差が激しい。
・冬の間に肌が乾燥傾向になっている。
・紫外線が増える。
・花粉症で目をこすったり、鼻をかんだり、マスクでこすれたり、
肌に刺激になることを一日中してしまっている。
特に、目のまわりは皮膚がうすい部分。
なので、乾燥しやすく、バリア機能が低下しやすいんです。
最近の研究では、スギ花粉自体が、直接肌のバリア機能を低下させることも報告されています。
もともと、敏感肌で肌がデリケートな方は、特に影響をうけやすいです。
花粉症シーズンは、注意ですね。
それでは、漢方専門の薬剤師がオススメする、花粉症皮膚炎によい漢方薬について詳しくお話します。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう、41番)は、花粉症皮膚炎の顔のかゆみを体の中からケアする漢方薬
解毒証体質が花粉症皮膚炎のかゆみを引き起こす
春になってあたたかくなると、からだの代謝が活発になります。
そして、冬に溜めこんでいた老廃物が、自然と排出されていきます。
いわゆるデトックス(解毒、げどく)です。
春のなると、デトックスしよう!という体のはたらきが高まって、
花粉症をはじめとして、吹き出物やじんましんといった皮膚トラブルも起こりやすくなります。
私たちのからだの中で、
デトックスに深く関わっている臓器といえば、<肝臓>です。
肝臓のはたらきがスムーズにいかなくなると、
体に不要なものがたまりやすくなります。
この状態を漢方的に、解毒証体質といいます。
アレルギーの原因のひとつと考えられています。
つまり、解毒証体質=アレルギー体質ということですね。
アレルギー体質だと皮膚や鼻や喉の粘膜が敏感で、
花粉などの外からの刺激に反応しやすく、
体にかゆみや腫れといった炎症が起きてしまいます。
そして、花粉症皮膚炎やアトピー性皮膚炎、鼻炎につながります。
解毒証体質によい漢方薬で代表的なものが、
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう、41番)です。
体の炎症をやわらげて、アレルギー体質を改善していく漢方薬です。
荊芥連翹湯は、温清飲(うんせいいん)という漢方に、
名前の由来となる
荊芥(発汗・解熱、解毒作用)、
連翹(抗菌、炎症をやわらげる)などの9種類の生薬を加えて、解毒作用を強化したものです。
アトピー性皮膚炎などによく使われる漢方薬。
温めつつも、熱を清ますという二面性があります。
・温=温めて血流を改善する
→四物湯(しもつとう)
・清=熱を清まし、のぼせやイライラを和らげる
→黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
*温清飲=四物湯+黄連解毒湯
症状や体質によっては、
温清飲、四物湯、黄連解毒湯を単独もしくは他の漢方と組み合わせて使うこともありですね。
私の中では、荊芥連翹湯は、
蓄膿症になりやすい方が予防ために飲む漢方
こういうイメージが強いです。
でも、鼻炎だけでなく、
花粉症やにきび、アトピーの体質改善にも使われる漢方です。
からだの上の方(顔や頭)に炎症がでるときに有効です。
鼻の炎症=副鼻腔炎(蓄膿症)、慢性的な鼻炎。
喉の炎症=扁桃炎。
皮膚の炎症=顔のかゆみ、湿疹、ニキビ
こういった症状にある首から上の熱を追い出しながら、血行もよくしていきます。
花粉症皮膚炎の場合は、
肌が乾燥して、ヒリヒリする、
顔のかゆみがひどい、
こういうつらい症状をやわらげていきます。
さらに、花粉症皮膚炎になりやすい解毒証体質の改善も期待できます。
荊芥連翹湯はどこで買えるの?ツムラとクラシエの市販薬の違いは?
荊芥連翹湯は、薬局やドラックストアでも売っています。
市販薬のツムラの荊芥連翹湯は、ツムラの医療用の1/2処方です。
(生薬成分が少なめです)
市販薬のクラシエの荊芥連翹湯は、基本的にはツムラの医療用の2/3処方ですが、一部の生薬(キキョウ、ビャクシ、サイコ)は同量含みます。
つまり、市販薬のツムラとクラシエの荊芥連翹湯を比較すると、クラシエの荊芥連翹湯の方が構成生薬の量が多いという違いがあります。
さらに、荊芥連翹湯は独特の苦みというか味でどちらかというと飲みにくい漢方薬なので、錠剤タイプのクラシエの荊芥連翹湯だと飲み続けやすいというメリットがあると思います。
市販薬のクラシエとツムラで迷った時の参考にしてくださいね!
漢方薬の成分表についてはこちらのブログ記事に詳しく書いています。
病院で処方される医療用漢方薬と薬局で買う一般用漢方薬の中身の違い
荊芥連翹湯の飲み方
荊芥連翹湯は、2~3か月と長い間飲み続けて効果をみていくことが多いです。
続けて飲んでじんわりと効いてくる、
症状をやわらげつつ、じっくり体質改善していく
いかにも漢方薬らしい漢方です。
花粉症皮膚炎対策としては、
花粉が飛び始める前、まだ冬の季節から飲み始めると効果的だとおもいます。
この記事で他の花粉症対策についても、まとめています^^
子どもと一緒につらい花粉症を乗り切る漢方とハーブの花粉対策まとめ
まとめ:花粉症皮膚炎の顔の肌荒れがヒリヒリ痛い!市販薬の漢方での対策法
ということで、花粉症皮膚炎(花粉皮膚炎)の原因とオススメの漢方のひとつ、荊芥連翹湯についてお話してきました。
花粉症皮膚炎の対処法としては、ステロイドの塗り薬や西洋薬の抗アレルギー薬がメインになります。
薬は痒みを和らげますが、対処療法で根本的な解決にはなりません。
西洋薬(ステロイドや抗アレルギー薬)のように今ある症状だけを抑えこむだけでなく、
荊芥連翹湯は、痒みや腫れといった症状を和らげながら、
体の中から体質改善もしていく、漢方ならでは!の効き方が魅力的です。
春になると顔がかゆい、花粉症の時期の肌荒れに悩む方はぜひ一度試してみてくださいね。