麻黄湯と葛根湯の違いと使い分け、併用可能?インフルエンザの漢方薬

風邪には市販の漢方薬が役立ちます。

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こんにちは。
ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水 みゆきです。

この記事では、インフルエンザや風邪の急な発熱に使われる漢方薬、麻黄湯と葛根湯の違いと使い分けについてお話します。

 

最近は、小児科でも漢方薬が処方されることが増えてきました。

インフルエンザなどの発熱の時によく使われるのが、
麻黄湯(まおうとう、27番)です。

「風邪をひいたら葛根湯」とよく言いますが、
風邪だから葛根湯というわけではなくって、インフルエンザでも葛根湯が効く時もあります。

同じように、
インフルエンザだから麻黄湯というわけではなくって、
風邪や溶連菌感染症のときに麻黄湯が使われることもあります。

漢方薬って、病名に対してではなく、
その人の症状や体質にあわせて選んでいくものだからなんですね。

 

「インフルエンザも風邪に似ているから、葛根湯でも効くのかな?」

「薬局に麻黄湯も葛根湯も売っているけど、どっちがいいんだろう?」

自分で選ぶとなると、その使い分けに迷ってしまいませんか?

 

というわけで、突然の発熱に備えてぜひ知っていてほしい麻黄湯と葛根湯の違いと選び方について、詳しくお伝えしていきますね。

 

 

この記事を書いた人

清水みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師およびJAMHA認定ハーバルセラピストの資格を持つ専門家。
大学院卒業後、製薬企業の研究職を経て、現在は漢方調剤薬局に勤務。
漢方とハーブの知識を活かして自然の力で健康づくりをサポートする活動をしています。

インフルエンザによく使われる麻黄湯(まおうとう、27番)はどんな漢方薬?飲み方のコツ

 

麻黄湯はどんな効果がある漢方薬?

麻黄湯は杏仁(きょうにん)、桂皮(けいひ)、麻黄(まおう)、甘草(かんぞう)
この4つの生薬からできています。

麻黄と桂皮は、からだをあたためて、発汗をうながして邪を追い払います。
熱がでている時に、汗をかかせて熱を下げるはたらきがあります。

しかも、麻黄と桂皮の2つの生薬が組み合わさることで、発汗作用がパワーアップします。

麻黄だけでは、強い発汗作用はでないんですよ。
不思議ですよね。

杏仁は、腫れをとりのぞくはたらきがあります。

なので、麻黄湯は、発熱したときに起きる関節痛や頭痛に効果があります。

さらに、杏仁と麻黄の組み合わせで、
咳をおさえるはたらきがパワーアップします。

甘草は、発汗しすぎないように、全体のバランスをととのえる役割があります。

 

つまり、麻黄湯は、
・熱がでていて、寒気(悪寒)があること、
・関節痛(痛み)がある
・汗がでていない
こんな症状のときにぴったりの漢方薬です。

体質的には、胃腸が弱くない体力がある人むけです。

ただ、熱がでていても、寒気を感じないときには使えません。

すでに汗をかいているときも、使えません。
(脱水症状につながることもあります。)

麻黄湯を飲むと汗をかくので、自分で水分を摂ることができるっていうのも大切です。

汗をかいたら、麻黄湯を飲むのは終わりです。

実際に麻黄湯を飲むのは、1日か2日ほど。
短期決戦用の漢方薬なんです。

 

麻黄湯の効果的な飲み方

麻黄湯の効果的な飲み方にはコツがあります。

一般的な1日3回ではなくて、3~4時間おきに飲んだ方が効果的です。

 

例えば、夜の19時頃から寒気がして熱がでた場合、まずすぐに飲みます。

麻黄湯を食後に飲んでも問題ありません。
緊急事態なので、早くからだの中に入れることが大切です。

そして、3~4時間後の22時半頃にもう一包追加します。

その後はぐっすり寝てからだを休めた方がいいので、朝まで寝ましょう。

おそらく朝になるとスッキリしているはずです。

もし、熱が下がりきっていなくても、汗をかいてきたら、麻黄湯の役目は終了です。

 

 

麻黄湯はどこで買えるの?

 

麻黄湯はドラックストアや薬局、インターネット通販でも買うことができます

ただ、入っている生薬成分の量がメーカーによって違うので注意してくださいね。

 

ツムラの市販の麻黄湯

市販のツムラの麻黄湯は、医療用の麻黄湯の成分の1/2量です。

 

クラシエの市販の麻黄湯(麻黄湯EX:錠剤タイプ)

市販のクラシエの麻黄湯は、医療用の麻黄湯の成分の2/3量です。

錠剤タイプなので、のみやすいというメリットもあります。

「医療用の麻黄湯と同じ成分量が入ったものが欲しい!」
という方には、満量処方の麻黄湯であるビタレトール麻黄湯がおすすめです。

ビタレトール麻黄湯(満量処方の麻黄湯)

ビタトレール麻黄湯の添付文書より
成人(15歳以上):1回1袋
15歳未満 7 歳以上 :2/3包
7 歳未満 4 歳以上:1/2包
4 歳未満 2 歳以上:1/3包
2 歳未満: 1/4包
※1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用させること。

 

ちなみに、麻黄湯はインフルエンザ<予防>に使う漢方薬ではないです。

ただ、麻黄湯(葛根湯も)をインフルエンザや風邪の初期段階のドンピシャのタイミングで飲むと、ひどくならずに治るので、それが予防してくれたように感じることはあるとおもいます(笑)。

 

 

インフルエンザや風邪の発熱時に使う葛根湯と麻黄湯の違いとは?その選び方

麻黄湯と葛根湯の違いと使い分け

葛根湯は、葛根、麻黄、桂皮、芍薬、大棗(たいそう:なつめ)、生姜、甘草からできています。

麻黄湯よりも生薬が多いですよね。

漢方では、使われる生薬が少ないほど、切れ味がよいといわれています。

葛根湯よりも麻黄湯の方が、強い、パワフルな漢方薬ということになります。

 

麻黄と桂皮は、麻黄湯と一緒です。
なので、葛根湯にも、からだをあたためて、強い発汗作用があります。

・熱がでていて、寒気(悪寒)があること、
・汗がでていない、

麻黄湯と同じくこの二つは葛根湯を選ぶポイントになります。

 

麻黄湯との違いは、葛根、芍薬、大棗、生姜、甘草です。

葛根は、首やうなじの凝りをよくするはたらきがあります。

芍薬は、痛みをやわらげるはたらきがあります。

なので、葛根湯は、首や肩の頭痛や筋肉痛などにも効果があります。

 

さらに、生姜、大棗、甘草は、胃薬のようなはたらきをします。

麻黄湯で胃腸の調子が悪くなるかたには、葛根湯の方が体にやさしいです。

 

他にも、

・頭痛や首のあたりのこばわりがひどい

・麻黄湯を使うほどの症状ではないかな

こんなときは、麻黄湯ではなく、葛根湯を選ぶといいとおもいます。

 

 

麻黄湯と葛根湯の飲み合わせ、同時服用、併用してもよい?

葛根湯も麻黄湯も、大きく分けると、同じはたらきのグループになります。

体をあたためて、汗をかかせるはたらきが強い漢方薬です。

同じはたらきの漢方薬だから、一緒に飲むと効き目がアップする!
そんなことはありません。

逆に、汗が出過ぎて脱水になる、
動悸や胃もたれなど麻黄の副作用の心配が出てきます。

なので、麻黄湯と葛根湯は併用しないでください!

 

麻黄湯と葛根湯は併用できませんが、
熱のピークを超えたから、麻黄湯から葛根湯に変更する
こういう飲み方はよくあります。

インフルエンザの症状の変化にあわせて、飲む漢方薬も変えるということですね。

 

 

ちなみに、

我が家では、子どもの急な発熱は麻黄湯ではなく葛根湯がファーストチョイスです。
漢方薬があればインフルエンザ流行期の子どもの急な発熱にも慌てない


葛根湯の選び方のコツについても書いています!

 

私の場合は、桂麻各半湯(けいまかくはんとう)です。
風邪の熱や喉の痛みに効く漢方けいまかくはんとう、葛根湯との違いは?

 

清水 みゆき
パパは体質的には麻黄湯がぴったりですが、めったに熱を出さないので試したことがないです(笑)

 

 

まとめ

ということで、インフルエンザや風邪の急な発熱に使う漢方薬、麻黄湯と葛根湯の使い分けについてお話してきました。

副作用が心配な方は、葛根湯から試してみるとよいと思います。

風邪かインフルエンザかわからないけど、寒気がして熱がでた!
麻黄湯か、葛根湯かどちらにしようかと迷う時に、参考にしてくださいね。