こんにちは!ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水みゆきです。
インフルエンザの流行時期、母としては、自分や家族の健康管理に気が抜けないですよね。
ひどい悪寒がするけれど、寒気だけで熱はなし。
もともと低体温だからかなあ。
けれど、からだはだるくて、ぼんやりと眠たい感じがする。
頭痛もするし、のどが痛い。
そんなあなたにオススメの漢方薬があります。
今回は、冷え性やハードワーク続きで<からだの中から冷えている>人のインフルエンザや風邪によい漢方薬、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう、127番)について書きます。
目次
インフルエンザや風邪に使われる麻黄湯や葛根湯があわない人もいる
インフルエンザの漢方といえば、麻黄湯(まおうとう)が有名です。
漢方専門ではない内科や小児科でも処方されることがあります。
麻黄湯はげしい関節痛や高熱の時に使われます。
(インフルエンザだけでなく、風邪や溶連菌感染症などで同じ症状の時にも使われます)
からだをあたためて、発汗させる、
からだが熱を出すのをサポートしています。
熱をだすことで、ウィルスと戦っているんですね。
麻黄湯はとてもパワフルで、体力がある人むけの漢方です。
子どもってすぐにぐーんと熱がでますよ。
それは体力があるからこそ!なんです。
麻黄湯はそこを強力にサポートするので、子どもが飲んでも問題ありません。
ただし、持病がないこと、熱は出ても汗をかいていないこと、水分は自分で摂ることができる、これが大前提です。
仕事に家事にと忙しくて睡眠不足の日々が続いている
疲れがたまっていて、からだが弱っている
だるくて、ずっと横になっていたい
もともと低体温、冷え性で、手足が冷たい
<弱っている>場合は、高い熱はでないことが多いです。
微熱だけがダラダラ続くことも・・・。
体力がないので、うまく熱を出してウィルスと戦うことができないんですね。
そして、熱がでないかわりに、汗がまず出ます。
ここで、<汗をかかせる>はたらきが強い麻黄湯を使うと、汗がどんどん出過ぎて脱水状態になってしまいます。
また、からだの冷えが強すぎて、うまく発汗させることができません。
こちらのブログ記事に詳しく書いていますが、我が家の子どもたちのファーストチョイスは葛根湯です。
インフルエンザ流行!子供の発熱にも慌てずにまず漢方で対処する方法
体質的に葛根湯があわない方もいるので注意してくださいね。
からだが弱っていて体力がない、冷え性の人のインフルエンザや風邪には、麻黄湯や葛根湯よりも、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)の方が効果的です。
麻黄湯と麻黄附子細辛湯って、同じ<麻黄>という言葉があってなんか似てる気がしませんか?
確かに、両方とも、
寒気や悪寒がひどいようなインフルエンザや風邪の初期症状に使う漢方薬っていうのは同じです。
でも、<どんな人に使うのか>は全く違ってきます。
冷え症の風邪やインフルエンザには麻黄附子細辛湯を試してみて!
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう、127番)ってどんな漢方薬?
麻黄附子細辛湯は、文字通り、麻黄(まおう)、附子(ぶし)、細辛(さいしん)の三種類の生薬からできた漢方薬です。
この3つの生薬すべてに、からだをあたためるはたらきがあります。
なので、からだを内側からあたためるはたらきが強い漢方薬です。
麻黄湯にも葛根湯にも、麻黄の他に桂枝(けいし、シナモンのこと)が入っています。
この麻黄+桂枝、2つの組み合わせで、汗をかかせるはたらきが強くなります。
麻黄附子細辛湯には、麻黄は入っていますが、桂枝は入っていません。
なので、汗をかかせる発汗作用よりも、からだをあたためて冷えをとるはたらきの方が強いです。
からだの冷えを取り除くことで、発汗できるようにします。
からだが熱を生み出すちからをアップさせるんですね。
症状がひどくなる前の早めのタイミングで症状や体質にあった漢方薬を飲むと、まるで漢方薬が予防してくれたかのように、治ることがあります。
インフルエンザに対して漢方薬は、<効率よく発熱させて>からだの治るちからをアップさせます。
そうすることで、からだの中でインフルエンザウィルスが増えていくのを食い止めます。
*からだの発熱の仕組みについてはこちらも参考にしてくださいね。
風邪を早く治すために、発熱して風邪と戦う元気なからだ
麻黄附子細辛湯は市販薬にある?どこで買えるの?
医療用では、麻黄附子細辛湯はカプセルのもの(コタロー)もあります。
私の勤務先の薬局では、これがよく使われます。
1回2カプセルを飲む必要がありますが、切れ味よいです。
麻黄附子細辛湯はドラックストアや薬局でも売っています。
ただ、附子が入っているので、15歳以下には服用しないこととなっています。(添付文書より)
病院でもらう医療用の麻黄附子細辛湯の添付文書でも、子どもには慎重にとなっています。
子どもに使う場合は、お母さんが自己判断せずに、専門家の意見を聞くようにしましょう。
市販されている麻黄附子細辛湯で、
医療用の麻黄附子細辛湯と同じ成分量(満量処方)のものがこちらです。
病院で処方される医療用漢方薬と薬局で買う一般用漢方薬の中身の違い
さいごに
というわけで、冷え性やハードワーク続きで<からだの中から冷えている>人のインフルエンザや風邪によい漢方薬、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう、127番)についてお話ししてきました。
麻黄附子細辛湯といえば、<高齢者の風邪薬>として有名でした。
麻黄湯や葛根湯と比べると、体力がない人向けの漢方薬だからです。
最近は、低体温で冷え性の人やハードワークで疲れている人が増えているせいか、若いお母さん世代にも、麻黄附子細辛湯があうケースが増えています。
からだの内側から冷えている人の
インフルエンザや風邪の初期のひどい寒気や水っぽい鼻水やくしゃみ、のどの痛みに
麻黄附子細辛湯は、効果的です。
他にも、鼻炎やぜんそく、花粉症にも使われます。
寒気やいつもよりひどい冷えを感じたらすぐに、早めのタイミングで飲むようにしましょう。