漢方薬の副作用:麻黄(まおう)を含む漢方薬一覧と服用上の注意点

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こんにちは。 ママのためのやさしい漢方 薬剤師の清水 みゆきです。

漢方薬はいくつもの生薬を組み合わせることで、
相乗効果があると同時に、副作用も最小限に抑えるように、その長い歴史の中で工夫されています。

でも、漢方薬も薬なので、副作用が全くないわけではありません。

注意するポイントさえ理解していれば問題なく活用できることがほとんどです。

今回は、注意すべき漢方薬の副作用として、麻黄(まおう)を含む漢方薬についてお話しします。

 

この記事を書いた人

清水みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師およびJAMHA認定ハーバルセラピストの資格を持つ専門家。
大学院卒業後、製薬企業の研究職を経て、現在は漢方調剤薬局に勤務。
漢方とハーブの知識を活かして自然の力で健康づくりをサポートする活動をしています。

漢方薬に含まれる麻黄(まおう)の副作用とは?


麻黄(まおう)は、発汗作用や利水作用、咳を抑える効果があり、
発熱や頭痛、鼻づまり、喘息(咳)、むくみなどの症状に役立つ生薬です。

その一方で、麻黄に含まれる交感神経を興奮させる成分、エフェドリンなどの影響などにより以下のような副作用が生じることもあります。

 

【麻黄で起こりうる副作用】

・気持ちが悪くなる、胃もたれ

・ドキドキと動悸がする、頻脈、血圧上昇

・食欲がなくなる

・眠れなくなる

 

また、以下の持病がある方は、麻黄の副作用が出やすかったり、症状が悪化するおそれがあるので注意が必要です。

・血圧が高い方、心臓に持病がある方:交感神経を刺激して血圧や心拍数があがるおそれあり

・甲状腺機能異常症(甲状腺機能亢進症:バセドウ病):交感神経の感受性が高まっている(緊張した状態)ため、交感神経を刺激する麻黄を含む漢方薬を服用することで、動悸や発汗、手のふるえといった症状が悪化するおそれあり

・前立腺肥大症:交感神経を刺激して尿が出にくくなるおそれあり

 

中でも、甲状腺機能亢進症は、30代から40代に発症することが多く、男女比では女性の方が多いとされています。

ママ世代も気をつけてほしい不調のひとつです。

 

清水 みゆき
ちなみに、麻黄やエフェドリンの交感神経興奮作用はドーピングにも関係しています。

 

麻黄湯や葛根湯だけじゃない!麻黄を含む漢方薬一覧

 

麻黄湯や葛根湯など、麻黄を含む漢方薬としてよく知られているものもありますが、意外といろいろな漢方薬に麻黄は使われています。

病院で処方される漢方薬(いわゆる保険適応の漢方薬、医療用漢方エキス剤)について、麻黄を含む漢方薬を一覧表にしました。

漢方薬名 麻黄の量(ツムラの場合)
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう) 6g
麻黄湯(まおうとう) 5g
神秘湯(しんぴとう)
よくいにん湯 4g
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
麻杏よく甘湯(まきょうよくかんとう)
五虎湯(ごことう)
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
葛根湯(かっこんとう) 3g
葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) 1.2g
五積散(ごしゃくさん) 1g

 

防風通聖散や五積散に麻黄が含まれているのはちょっと盲点かもしれません。

防風通聖散では、麻黄で発汗させて体表の水の代謝を高め、利水してむくみを除くはたらきがあります。

五積散では、麻黄は発汗してコリや痛みを取り除くはたらきがあります。

 

まとめ:漢方薬の副作用:麻黄(まおう)を含む漢方薬一覧と服用上の注意点

というわけで、
今回は注意すべき漢方薬の副作用として、麻黄(まおう)を含む漢方薬についてお話ししてきました。

麻黄湯や葛根湯以外にも麻黄を含む漢方薬はいろいろあります。

とくに甲状腺機能や高血圧など持病をお持ちの方は注意してくださいね。